こんばんわ。よっちです。

今日は特殊な状況下で原稿を書いています。屋外で、簡易の折り畳み式のパイプ椅子に座りながら曇り空の雨を心配しながら…(≧∇≦)

実は、来春うちの次男坊が幼稚園に上がる歳になるので、目当ての幼稚園に入れるため徹夜で入園手続きの順番待ちをしているのです!

嫁の母が夜の7時くらいから並んでくれたおかげで、先頭から7番目です。先頭の若いお父さんは夕方5時くらいか並んでいるそうです。愛知県の、こんな片田舎でも待機児童にさせないため、よっちも体を張って頑張っているのです(^-^)/




さてさて、本日のテーマです。

住宅メーカーの値引き額の胡散臭さに嫌悪感をもったことが元で、値引きの幅がどうしてそんなにあるのかを考えるため、何回かにわたり記事を書いています。

今回は製品の材料、コストによる製造原価から売価を設定する「原価積み上げ方式」の売価設定について考えてみたいと思います。


原価積み上げ方式というのはよっちの以前の勤めていた会社でそう言っていただけで、会計学的に正しい言い方かどうかは分かりませんΣ( ̄ロ ̄|||)

よっちは以前勤めていた会社(商社A)で子供服を製造販売する部署にいました。よっちの担当は女児ブラウスで、子供服ブランドメーカーや大手問屋、専門店チェーンなどの企画担当者らと打合せし、素材、デザインを決め商品化していました。相手先ブランドで商品を作り期日通りに納めるというのが売り上げの多くを占めていましたが、一部は自社ブランドのものも作っていました。

よっちの部署では製品のナンバー、通称、品番ごとに採算帳という帳面を作っていました。二十数年前の話です。事務所にパソコンなんてまだ一般的ではなかった時代です。紙と鉛筆と電卓で弾いていた時代です。できるだけ簡素な採算のはじき方をしていたように思います。

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どんな事が書かれていたかというと、詳細は忘れてしまいましたが以下のような事をコストに組み込み原価としていた記憶があります。


おおよそこんな感じです。

①生地代
②刺繍代
③レース、ボタンなどの付属品代
④工賃
⑤荷具運賃代
⑥積金

一つずつ見ていきます。

①の生地代は、メインとなる材料費です。メーター当たり200円くらいの仕入れ値の生地をよく使っていました。子供のブラウスといっても素材はいろいろありますが、8割くらいは同じ素材でした。年間で相当な量を使っていましたので、当時の課長が生地の仕入れ先からそれなりの厳しい価格で入れさせていたに違いありません。女児ブラウスではおおよそ90cmくらいが1着分です。これを要尺90cmといいます。200円の生地なら要尺90cmで、生地代180円ということになります。

②の刺繍代ですが、品番の違いは襟に施した刺繍の違いとした物が毎シーズン多く存在しました。刺繍業者さんに下請けで出し、機械刺繍のものが両襟分で安い物が80円くらい、普通は120円くらい、内職さんに依頼する手刺繍で220円くらいのコスト計算でした。手刺繍は220円でできるといことが前提となってデザインが決められていたように思います。機械刺繍は高いものと安いものは見た目上あまり変わらないのですが、どうして1.5倍も高くなってしまう場合があるのか、後に説明します。

③の付属品代です。メーター30円くらいの安いレースから、300円くらいのものまでデザインや素材で様々使いました。レースは主に襟周りに施したり、前立て(ブラウス正面のボタンを留める部分)に挟みこんだりしたわけですが、襟の形で使用量が随分変わるのがレースです。また、ゴージャスさがギャザー具合でこれまた随分かわります。仕様書には1.5倍ギャザーとか、1.7倍ギャザーとか指定していました。そこそこのレースで、コスト150円くらいだったと思います。他に一律で芯地代17円なんてのもありました。芯地というのは、ボタンをつけたりするために生地を強化したいところの裏地に貼り付ける生地のことです。あとはボタン代や洗濯絵表示、ネームラベル代 なんかもここに組み込まれました。ボタンの有無で多少変わりますがレース以外のもので合計70円くらいだったと思います。

1番ウエイトの大きかったのが④の工賃です。商社Aが契約していた縫製工場へは1着当たりだいたい410円くらいの工賃を払っていました。縫製工場は2社あり、片方は月産3万枚くらいの生産能力(工場Bとします)、もう片方(工場Cとします)は1万枚くらいでした。同じデザインなのに生産量が少ない工場Cは410円固定でした。生産能力が高い工場Bも410円が基本とはなっていましたが、低く抑えてもらったものでは340円なんていうのも少なくありませんでした。工賃の幅についても後に詳しく説明します。簡単にいうと大量のロットで生産できるものは安くできる、安い工賃で受けても利益がだせるのです。

⑤荷具運賃代です。たしか1枚当たりどんな品番でも一律40円として原価に組み込んでいた記憶があります。どんなコストかというと、配送するときの物流経費です。ダンボール代や、配送するまでの保管費用も含まれます。工場で製品が縫い上がると、それぞれ指定のビニール袋にたたみ入れられた後、検針検査を受け、ダンボール箱に詰め込まれます。工場には保管場所などないですから、出来上がったもが次々と商社Aが契約する営業倉庫に送り込まれます。ここで保管費用が発生するのです。平均すると半年間くらい保管されていたんじゃないでしょうか。実際にはまだ発生したコストではないものの、これまでの経験上1枚あたりこれ位の経費が今後発生するという見込みをもとにあらかじめ原価として算入させているのがミソです。

⑥の積金ですが、これはよっちも本当のところは正しく理解していないかもしれません。若輩者のよっちが先輩に質問して答えてもらった際には「保険のようなもの」だと説明されました。つまりこういう事です。繊維業界は、着るものの業界は景気の浮き沈みに影響されやすい。いつ得意先にも倒産の危機が訪れるか分からない。とかく信用不安のつきまとう業界だからこそ商習慣としてある制度とのことです。製造原価の中に、ある一定の保険額をかけておき、普段、相手にあえて高く仕入れてもらう。原価計算に含めているものの、貯まっていく積金は得意先の資産で、もし、得意先が倒産した時にはその掛けておいた(高く買ってもらった)積金は回収させてもらうというものです。これは相手先も承知の取り決めで、場合によっては得意先側から、「そろそろ貯まっている積金を一回取り崩して貰えないか?」のように請求されることもあるようです。原価に組み込んでいるのにも関わらず、定期的に得意先に還元するのです。これって会計学的にどうなんでしょうか。よっちの認識に不足があるのかもしれませんが、それでもそんな認識で仕事をしていました。


さて、ここまで見てきた①から⑥までのそれぞれを積み上げると以下のようになります。
①180 + ②80 + ③(150+70) + ④410 + ⑤40 + ⑥30 = 960円

ミシン3



得意先から厳しい値段を言われた時

デザインや材料により製造原価に幅ができるわけですがすが、850円〜1150円くらいの製造原価として採算帳にのせた製品を1000円〜1350円くらいで納めていました。製造原価から逆算して15%くらいの利益を乗っけるのが普通でしたが、販売ルートによっては多少の卸値の加減がありました。この加減というのは安く仕入れたい、予定通りの価格で売りたい、のせめぎ合いの 中で決める価格です。ここで先方の条件にはまらない場合、様々な工夫が入る訳ですが、ここがハウスメーカーと施主のせめぎ合いに似ていると思うのです。商社Aのブラウスは、元々が儲け過ぎず、無理せずの程々の利益率で見積もっています。でも赤字になるような価格では絶対に受注しません。先方の欲しいコストにおさまらない時は様々な妥協点を探り、価格の落とし所を決める訳です。

さて、では相手先に値段が通らない時どうするのか。

ここから、ここ何回かにわたり書いてきた、もの作りに関する記事の核心部分になってくると思います。


①相手先の了解をもとに材料費を安いものに変える

生地を安いものに落とす方法があります。素材名が同じでもいいものから安いものもあります。見た目に余り変わらなければ一つの方法です。レースを安いものに変える手もありますし、ギャザーを1.7倍から、1.5倍に落とす手もあります。仕様書に書いてある中で変更可能なコストダウンできる個所を探すのです。


②工場を変える

仕様書には下請けの縫製工場名までは明らかにしてありません。実は工場Cは生産量が少ない代わりに、仕上がりの顔が良いという特徴がありました。商品の出来栄え、見栄えが、同じデザイン、同じ材料でもなんとなく工場Cのほうが良いのです。見栄えといっても好みの差かも知れません。ブラウスばっかり見ているよっちらだからこそ感じる違いかもしれません。そのため価格が通りやすい百貨店ルートの得意先の商品の多くは工場Cに出していたし、価格を言われる量販ルートは、その分注文量も出る事から工場Bに出すことが多かったのも事実です。見積もり価格は工場Cでも採算がとれる工賃410円で計算してあります。値段が通れば工場Cでそのまま生産される予定だったものが、価格を値切られたため、原価を下げる必要があり工場Bに振る事で対応するしかなくなるのです。工場Cは大量生産が得意です。絶対量があるから少しは融通を利かせてくれるという配慮があることも確かですが、同じような製品を大量に生産する中に安くできる秘密があるのです。刺繍が違うだけの同じ型紙のものなら一緒に裁断も縫製もできるのです。言い方が不適切かもしれませんが、得意先は値段を通してくれないために商品の見栄えを犠牲にしたわけです。

ここで留意しておいて欲しいのは原価積み上げ方式での売価設定においては商品ごとの元々の利益率にあまり差がないことです。掛かっているコストに対し一定の利益率を逆算して出しているのですから当然です。通る価格の相場は見当もついているわけで、その辺りに落ち着けるデザイン・仕様で、予め提案もしています。したがって、価格が通れば商社Aとして充分な利益が取れます。逆に無茶な利益を乗っけることを常としていたら、同じような商売をしている競合がある中で、川下の店頭において充分な価格競争力のある商品は提供できないのです。つまり言えることは最初から無茶な利益を乗っけた価格では提案していないということです。そこに厳しい価格を要求されたら、どこかで辻褄を合わせて作るしかないのです。



サテン


大量生産によるコストダウンについて

物作りにおいて大量生産で製造原価が安くなると聞いたことはあっても、では具体的にどうして安くなるのかをご存じない方もいると思います。

縫製工場の生産を例にコストダウンをみていきましょう。

工場Bは通常の生産で月産3万枚のポテンシャルがあります。工賃平均400円と仮定して月商1千200万円です。工場側のコスト計算は詳しくは知りませんが、工場の光熱費、パートさんなどの従業員さんの人件費 、設備投資した機材の原価償却費など、固定費が多くを占めている思われます。作りやすい商品を沢山作るほど効率が上がり、例えば効率がグッと上がってその月の生産枚数が1万枚増えたとします。生産枚数が増えれば工賃400円として400万円の収入が増えるわけです。従業員に残業などがなく純粋に生産効率が上がっただけなら経費はほぼ変わらないので400万円分は丸々工場の利益なるわけですし、逆に工賃をその分安く引き受けても工場経営的には支障がないわけです。

では、どうしたら生産効率が上がるのか。

縫製工場Bの社長から聞いた話です。縫い子さんたちは縫うものが同じ型紙のデザインが続けば続く程、慣れや、コツが身についてどんどん縫い上げが早く綺麗なるといいます。縫う能力にはまだ余力があるのに、裁断が追いつかないというのが工場Cです。工場Cは1日に2回までしか裁断が出来ないと聞きました。裁断というのは、生地の丸まった棒状の反物{以降、原反(ゲンタン)といいます}をコロコロ転がして型紙を置く適切な長さに伸ばしながら巻をほどいていきます。生地がずれないようにまっすぐ慎重に。そして伸ばした後、その上に型紙を置いていきます。子供服はサイズがたくさんあります。子供ブラウスは100,110,120,130cmと4サイズで作るものが多いです。つまり、伸ばした原反の上に4サイズ分の襟から身頃、袖などの型紙の全てのパーツを4人分並べ、エンピツで型を写し、裁断カッターで正確に裁断していくのです。DIY好きの方にはお馴染みのジグソーのように垂直に刃が上下する機械が裁断カッターです。

ところがサイズの生産比率が、1:1:1:1なんてことはありえません。端サイズの売れは少ないので平均で作ってしまうと販売店側にロスが出てしまいます。それを避けたいがために生産する際にバランスをつけるのです。1:2:2:1。これ位はあたりまえです。でももっと売れ枚数に近づけるとしたら、2:3:4:2位でしょうか。ところがこれが工場には超面倒くさいのです。なぜなら、2:3:4:2の比率を一発で裁断するため、これを裁断台に乗せるとなると2+3+4+2=11。延反した上11人分もの型紙を全て乗っけて、丁寧に裁断しなければならないのです。要尺90cmとして10m近く延反できるだけの長い台がなければ2回に分けて裁断しなければならないし、どちらにしても超面倒くさいのです。ところが、この比率でも生産ロットが数千枚単位なら問題ありません。同じ裁断での手間がかかっても、縫う方で挽回が出来るのです。生産ロットが300枚位でこの比率は、工場としはやってられないのです。裁断が間に合わなくて縫う方を持て余ししまい目標とするその日の生産量を上げることができないのです。

それを解決したのが工場Bです。自動延反機という機械重機メーカーと共同開発し、自動延反機が設定した通りに綺麗に延反してくれるのです。1日に6回まで裁断できるようになったということです。

ミシン糸


生産ロットが効率に大きく影響するのは、裁断や、縫製だけではありませ。掃除もポイントです。生地の色が違う場合、例えば赤い生地を裁断し、縫製ラインに回した場合を考えます。裁断台には赤い糸屑、ケバが飛び散っています。縫製ラインにも、ミシン台に赤いホコリが静電気で吸着したりします。その後に白い生地を流したらどうなるか。白い生地に赤いホコリがつきまくりですよね。不良品扱いされてしまいます。実は作るものが変わると掃除や、ミシンの糸の変更、張り具合の調整なども一台一台念入りに必要で、その分ラインが止まってしまうのです。

大量生産はそういう調整にかかる時間的ロスが減るため、ロットが大きいほど生産枚数があがり、1枚あたりのコストを抑えることができるというわけです。


さて、ついでに刺繍のコストダウン話です。

刺繍を縫い付ける機械は、その刺繍ごとの金型が存在します。金属でできた型です。その型を金型屋に作成の依頼をするのですが、この金型は1個作るにに確か5万円ほどかかると聞かされました。同じ商品を5万枚作るなら、金型費用を5万枚で割るため1枚当たり1円となります。5000枚なら10円、1000枚なら50円です。刺繍1個の手間代が80円で、足すと130円になります。これも生産枚数が多ければコストが落ちる典型でしょう。80円の刺繍は既に過去に型代を稼ぎ終わった金型です。金型費用は既に回収済みのため、手間代だけを請求されていることになり安くコストをあげられるのです。

今回は原価積み上げ方式での利益設定、売価設定見てきました。また一方では先方の希望の納入価に合わせるためのコスト調整の仕方、調整できる根拠を見てきました。そして生産ロットがコストダウンに直結することを見てきました。原価積み上げ方式での売価設定は良くも悪くも手堅い利益設定を行うことをベースにした売価設定です。注文住宅はモノができる前に幾らで買うのかおおよその額を先に決め契約します。既に作ったものを買うのとは違います。業界は違いますが、見積もりで先に価格がきまり、厳しい値段に合わせたときは、後から作り方で帳尻合わせをする方法が幾らでもありますよということを見てきました。




さて、iPadに書き綴ること数時間、肩も凝ってきました。今日はここまでとしたいと思います。次回ではそろそろ、この記事のまとめに入りたいと思います。住宅メーカーの大幅な値引き、も言わずもがなと思いませんか?

では今日はこのへんで。



あ、追記です。入園許可証無事に受け取れました(≧∇≦)